君の部屋/船田 仰
傘をささずに帰ってきたら
ぽつりぽつり、と、前髪の報復
それがしょっぱい涙じゃないこと
かなしいのかしらね
おまえは3よりも4だよな、と君は言います
もしかしたら心配、なのかもしれなくって
黙って座布団を抱いているわたしは
12か21がいいなあとおもう
まぎれていられるじゃない
君のことばは
正しすぎて涙もでない
つまりさみしいってことなのに
君はどんな言葉を彫っているのだろう
分からない、しか、浮かばない部屋に
うすぐらく日常に生きるものたちが沈んでいる
透明な窓を見ていた
君の青いTシャツのすそが
足にあたるのを見ていた
ありがとう
言っても言っても
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