箱/小川 葉
 
 
  
箱にはたくさんの
記憶の残骸や
体の部品などが納められていて
私もいつか配達される

何が入ってるかは
その時にならなければわからない
きっと箱の中には
懐かしくて
壊れそうなものばかり

箱の中の空白は
同じ質量で満たされている
この世界と変わりなく

満たされない
空白だけが心ならば
この世界とは何だろう

永遠のように
閉じてしまった箱の中で
愛し合い憎しみ合う
人間とは何だろう 

配達された
箱があるならば
今日という日を生きた
私たちの命もまた
そこにある
 
  
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