今朝の雪/フクスケ
今朝
気まぐれのように
寒風の中を
雪が舞った
空を見上げると
気配すらなくなり
いつもの朝が始まる
本当は
雪なんて
降らなかったのかも知れない
雪の降り始めは
どこか
物語の始まりに
似ている
知らず内に
いつか始まっていた
事の始まりの
きっかけというのは
いつも些細なことだ
見ていた筈なのに
見えなかったことが
ある日突然
こころに染みる
溶けてしまえば
最初から
何もなかったに
等しい
雪の始まりは
いつも
不意打ちの
始まりと
別れのように
哀しい
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