キーホルダー/
kiriko
誰かが死んだけれど会ったことすらなかったから
去年の私が買ったパンジーは花開いていた
加速したいくつもの車が近くの国道を通りすぎていく
赤や青は何が違っていても日差しに根を張って
今日の部屋を土壌にまみれた庭の色で咲き乱れ
花壇から伸びていた蕾が茎を暖かにして見える
彼と私とは何の関係もないのだろう
毎年のようにこの家にはなけなしの小遣い
今日の小さな私に銀プレートがまた春を訪れてしまっていた
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