あまのじゃく/銀猫
むしろ、さくらではなく
今朝の濁った空色が
薄灰色の風となって
じんわり染みこんでくるのを
わたしは待っているようだ
三寒四温の春は寡黙に地を這って
あたらしい芽吹きを迫る
枯れ枝に不似合いな、
やわい感触のみどり、みどり
黄砂に眼を閉じ
じっと待っているのは何?
子供のはしゃぐ声
ささやかな川原のアブラナ
埃の匂い
雨の気配が近づく
クローバーに四枚の葉はあるか
猫の冬毛が浮き立つ
繚乱の春はいらない
もっと原始の温もりがいい
朝が来るのは遅くていい
ただ温かければ
それでいい
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