岩の間に覗く空/雨野六也
岩の間に覗く空
険しい顔したアブラゼミ、
繰り返す事を惜しまずに、
悔しいだけの花の中、
泣いた顔を晒け出し、
口が裂けても、いい子でいたい、
ヒトデを撒いて、いい子でいたい、
ずっとずっと、いい子でいたい、
このままずっと、このままずっと、
それは唐突に、
そして唐突に、格子窓は砕け散る。
懐かしい日々は眩しくて、夕暮れだけを待ち侘びる、
今も抱えるこの思い、戻る事とは消える事、
雲に繋がる、あの階段、
遠くに霞んだ、山殺し。
どこまで続く、どこまで遠く、
どこまでも続く、どこまでも遠く、
岩の間に覗く空、
色を消したこの空は、
いつになったら暮れるのか、
いつになったら明けるのか。
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