はなればなれに/木屋 亞万
数珠みたいに
いくつもの玉が繋がれば
偉大なひとつになれる
しかし、数珠を作るときには
すべての玉に穴をあけねばならない
かつて玉だった僕は
己を貫通する穴をあけた
一本の糸で繋がるために
しかし数珠は完成しなかった
自分に穴があくことを拒み、
繋がりをごまかした誰かがいたからだ
そいつは恐らく糸を切断し、自分の両脇に糊付けし、涼しい顔をしていた
そこが強度の穴となり、数珠繋ぎはすぐに壊れて
はなればなれに
僕らは胸にぽっかりと
穴があいたままで、何もかも忘れてしまっている
(糸が今どうなっているのか、僕らを繋ぎとめていた糸はどこへ失われたのか
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