はなればなれに/木屋 亞万
考える
自分と、
自分以外のすべて、の存在だけが
この世の真実だったら
私は孤独に耐えられない
私は怯える、外に敵意がなくとも、内には不安が充満している
亀のように心を出し入れしながら
自分以外の存在に、警戒気味に内側を見せ、外の存在の内側を覗く
自分以外にも自分を自分と思い、自分と同じように、自分と自分以外についての、自分の考えを持つ自分
と出会った
僕らは
はなればなれになって、記憶を喪失した
何かの群れなのかもしれない
と思うようになった
その証拠に僕らには
ひとつへの憧れがある
優しい合体への願望、
大きな輪郭への融和を求める本能
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