繰り返される玉葱と匂い/小川 葉
玉葱のにおいがしている
玉葱が匂いになって
何かしている
夏祭り
まだ日は高く
午前中のうちに宿題を終えた
小学生たちが集い
がまん大会に参加する
冷水が満たされた青い桶に
裸足の足を入れて
がまんを競う
こんな暑い日に
こんなに冷たい水を
どこから運んできたのだろう
わたしは人ごとのように
しびれてゆく足が
まだ動くことを確かめる
みんな冷たいと言って
ギブアップして
笑いを取っている
そんな演技を競う大会
だったのかもしれないそれは
がまんなんて体裁で
まじめにがまんし続けていた
僕はきっとばかだった
優勝
と言わ
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