皮/YASU
 
ミ」と呼び捨てにされるのです

「ゴミ!って失礼な 俺はもともとお前なんだぞ」
と皮は僕を睨むのです

「ゴミ!って失礼な 私はもともと あなたの大好きなチャッピの喉に生えていたのよ」
と猫の毛が僕を睨むのです

ダニの屍骸も
「お前のお気に入りのセーターは何年洗っていないんだ?」
と悪態を吐き

陰毛ときては
「お前が夜な夜な 飽きもせずにこすり続けるから抜けてしまったんだぞ!」
と ちりぢりと曲がった背中をさらに丸めて 涙を流す始末です


「ちょっとは綺麗にしなさいよ!」
という妻の罵声を聞こえないふりして
そんなゴミ達の憤りを見えないふりして
今宵も発泡酒を ぷはーっ と飲みながら
べろりんちょ と腕の皮を剥いて遊んでいるのです

そんな味気ない いつもの夜にも
どこかで細胞分裂の音が響いています


ゴミ達と同じ憤りを抱えている僕は
掃除が苦手です




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