吐息/1486 106
 
胸の中 封じ込めてきたのはね
捨ててしまいたくない思い出だとか
忘れたくない温もりだとか
触れれば消えてしまいそうなものばかり

口の中 封じ込めてきたのはね
あの日言えなかった台詞だとか
聞かれたくないような本音だとか
行き場のない孤独のようなもの

素直だから我慢してみたり
楽しいことを見つけようとしたりした
危なっかしく歩いて 歩いて
また同じ壁にぶつかってしまうの

吐息 奥、奥の方から込み上げてきて
吐き出したら冷たい空気に溶けた



寒いからって抱きしめてくれた人を覚えている
熱すぎるからって突き放した優しさを覚えている

もう一緒にいた
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