わたしの時代/小川 葉
 
 
 
一つの時代が終わることを
想像もしないまま
わたしは一つの時代に育まれ
育んでくれたいくつかの人たちは
死んでいった

あの一つの時代が
今も変わらず続いていたならば
わたしは迷うことなく
変わらない時代の末端で
かろうじて滅びることなく
あるべきわたしは思惑どおり
祖父の一部と成り得たことでしょう

一つの時代がはじまった
その時に実は終わっていた
一つの時代を
一つの時代とするために

続けなければならなかった
一つの時代ははじめから
破綻していた
そのことをわたしは
証明するためだけに生まれていた

家業を継ぎさえすればいい

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