素晴らしい気晴らしに、いつ果てるとも知れぬ夢/雨野六也
 
素晴らしい気晴らしに、いつ果てるとも知れぬ夢

悔いる人の波の中、寄せては返す太眉毛(ふとまゆげ)、
へつらうべきは、その向こう、
あらがうべきは、まだ向こう、
カラスは啼いて、鳥になる。

薄くなった白線は言う

「帝王学を学べ」

決して大袈裟にではなく、あなたは揺れている。
風も吹かないこの場所で、隙間も見えないこの場所で。

そう、
ひどく疲れたその頬紅、
何も映さないカーブミラー、
揚がらない旗、
嵌らない指輪。

その全てが、啼いている。

啼いて啼いて、啼き止んだ頃、

カラスはようやく、鳥になる。

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