孤影(二十)/信天翁
 
      薄気味わるいすなおさで
 日中のきたかぜがご機嫌をなおした
築山の庭樹はようやくねむりについた
   ただ秒針だけが働き続けている
  ふるぼけたメトロノームのように

      突然 すすり泣くように
生き延びた蚊が耳元へすり寄ってきた
        そんな重たい夜更け
 わたしはいつのまにか羽織っていた
   黒びかりした四次元のどてらを
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