てにをはにはめを/aidanico
悪いけれど硬質な言葉を紡ぐ機会は生憎持ち合わせていないので、絹にはなれず綿にもなれないレーヨンの立場から言わせて貰うと、矢張り立場が不利である。斜交いに物事を見る奴だとか、根性が曲がっているのだとか、全面否定は出来ない理論に限りなく近い占いに怯んでしまうのだけれど。つめはあかいかてはしろいかくちびるはあわいか。湖に映った顔はどれも均衡の取れない素描のようだ。言葉もそれに習ってゆらゆらと水面を漂っている。今発した言葉はイだったそれともヰだった?或いは聞き取れないほどのか細い声で、違う何かを呟いたのかも知れない。こころゆかないまでも空間と言葉の羅列は奇妙に覆い被さっていく。それはまるで初冬に枯葉が水に
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