知らない故郷の道を走る/北村 守通
いつの間に
砂浜は深く削られてしまっていて
いつの間に
潮溜まりは浅くなってしまっていて
何年か
何十年だかしか
経っていない
留守にしていた
その間に
海はすっかり歳をとり
荒い気性になっている
すでに遠くなったのか
呼ばれたことすらわからないでいるらしい
いつの間に
どこまでもまっ平らだ
延々と続く
自動車道のその先は
留守にしていた
その間に
知らぬお宅に繋がって
地平線すら見えるかもしれない
この先は
遥か東に繋がっていて
行けば
進めば
諦めなければ
東に置きっぱなしにしてきた
欠片たちを拾いにいけるかもしれない
まだ
誰かに
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