アナログ/
 
二〇一一年七月二十五日、僕は帰宅するとテレビをつけた
そこには砂嵐が吹き荒れ、或いは無音の世界だった
懐かしさを感じながら
数十秒ほど
見とれていたと思う
それからラジオのスイッチを入れると
FMを流しながら
パソコンを立ち上げた
ゲームやネット配信番組を楽しんだあと
ニュースを見て
惰性という
ひとつの習慣が消えたことを知った

姪っ子が来ていたら
ラッタッタンが入らないって泣くだろうな
姉さんは旭川に嫁いだから
水道凍結情報が見られないって、嘆くかもしれない
でも僕は、
彼女となら ラブロマンスに涙し
友達となら 対戦ゲームに白熱する夜を送り
ひとりなら ネットに没頭して
些細な選択肢が減った
朝を迎える
それだけのこと

ひとつだけ、問題がある
これを処分するのに、お金がかかるという事実
不法投棄は刑罰の対象だけれど
今、一番ホットな話題だから
乗り遅れちゃいけない
街中を巡回する人々
山野の細道を周回するパトカー
いかに巧く処理できるか
面倒なゲーム
地デジ税でも作って
国が買い取ってくれればいいのに
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