春風電車/
夏嶋 真子
季節を生む長針は
花の踊りを軽やかに刻み
日常を運ぶ短針は
轟音の突風で
踊り子のフリルをゆらす
瞬間風速
一面に立ち込めるのは、この春の香り
シャッター音
静止する時間が、この春を「春」に還す
夕方5時の
まだ暮れぬ水色
わたしの中になだらかに
流れこむ水色
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