未完の、ソネット 「車窓」/望月 ゆき
 
列車に揺られるあいだに、季節がかわっていく
時間がすべてを解決するって、
あの日誰かに教えたのは、わたしだった
窓からずっと離れた場所に、夏緑樹林が広がっている



重なりには、かならず隙間があって
遮断してしまいたい日常の 
気配も、体温も、
わたしに 降りそそいでしまう



ページの中の、句読点を追うと
現在は、もう過去になっていて
明日という意識は いつも、行間に存在している



流れていく景色を、垂直にながめて
つめたい硝子に頬をつけても
思いだすのは、やっぱり くちびるのことだった






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