『ワールズ・エンド』/東雲 李葉
 
れているのは、
誰もそこにはいないこと。
へその緒の先も御祭騒ぎも私一人が演じていること。

お届け物を持ってきました、と玄関の方で声がしたから、
印鑑を持って応対したら宅配員は私だった。
中身は空の試験官。あの日を思い出して振ってみたら、
見る見るうちに空は濁って呆気なく世界は崩れてしまった。
絡まったままの電線はとうとう千切れて灰になり、
鳴らないケータイを握り締め私は君に電話し続ける。
何回も、何回でも。
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