タイヤ樹と春/まどろむ海月
果があれなのよ
アンタがそんなにサクラんしてどうすんのよ
って言ってあげたんだけどね もうすっかり
キがちがっちゃったみたいね
ねえ そんなことより 私たち二人で
もっと春めいたことしてみない
なんて 身体をすり寄せて言われてもなあ と
逆三角形は すっかり青くなって きょろきょろしている
まるいのも言ったそばから全身赤くなってうつむいている
青が 赤の体内に 精を放つと
紫色の星や花がいっぱい出来て
明け方の空に流れ出した
雲の白い起伏は
幸せだったあの頃に似ている
あまく温かいものを身体に入れても
想いはまともにならない
『春は残酷な季節 … 』
鳥はさえずりながら飛び立ったが
閉ざされた抽象の扉の向こうには
泣き崩れた具象の日々が
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