木の葉のささやき/殿岡秀秋
 
むいている

枝にまばらについている葉が
寒そうに風にゆれる
話しかけようとしても
どんなコトバが通じるかわからない

木造校舎とコンクリートの塀の隙間に
立っている木の幹は
校庭に立つ大きな木の
枝くらいの太さしかない

休み時間ごとに現れるぼくを
木は伏目がちに見ている
気がする
ぼくは何をしに来たのか忘れる

きみもひとり
ぼくもひとり
ひとり同士で何かして遊ぼう
それはぼくのコトバか
揺れる木の葉のささやきなのか

木が一枚の葉を散らす
黄色が混じった
薄緑の葉をひろって
ぼくは微笑みを返す

突然 始業のベルが鳴る
木からのコトバをもらい
柔らかくなった腕を振って
ぼくは廊下を走る




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