未完の、ソネット 「残響」/望月 ゆき
 
昨夜、遺伝子と数回にわたって交合したけれど
最後まで、ぼくが触れたのは
ぼく自身の器官だけであったので、
結局のところ どんな言葉でも形容できない



感性や知性を、すべて破壊したい
不必要なものを削ぎ落として 内臓で
会話しよう あるいは 
呼応、



エコー、エコー、ぼくの
舌を 染色体に絡めると、
声に、まだなれない振動が生まれて



エコー、エコー、愛しいヒトの
息づかいがひびいて、やがて
それは耳鳴りになる









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