未完の、ソネット 「落下」/
望月 ゆき
フリーズ、
見たことのない、遠い地で
顔のない男がつぶやいて 直後に
先端が、わたしの中心を穿つ
貫かれた体内へと
ぬるい、分泌物の侵蝕が始まるのを
指折りかぞえるあいだ、ずっと
魚は うろこを一枚ずつ剥いでいる
はだかになることで、なお
わたしが纏っているものがあらわになり
それしかほかに知らない方法で
求め合い、
水のない夜に、魚と
心中する
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