二人/kiriko
湖を散歩すれば
小鳥が景色で鳴いていて
枝葉がのばした手をそよいでいく
ぼんやりどこかへつま先を出すと
釣りをしている人を見かけた
道を見晴らして歩いていると
風が吹くたび小波が立っていたが
サオも彼の姿もそのままで
いつまでも釣り人として座っていて
その後ろにも釣り人がいた
しんとたたずむ影で
木がウキの流れを見つめていた
釣ったことのある大物の体を湖面に見つめて
魚が出てくるのはいつかなのかと
二人の姿はそこに貼り付いているようだった
けれど時間はとっくに過ぎていたから
彼らの姿を通り過ぎていく
小さくなっていく
橋に置いてあった自転車のペダルを踏んでいくと
彼らが脇で手を振っているように思えた
戻る 編 削 Point(1)