世界を踊る/さとう 星子
今日もどこかで
不協和音が鳴り響く
ときに耳のすぐそばまで来ていたりもする
白い鳥と黒い猫が共存し
赤い車の排気ガスが妙に息苦しい
石油がなくなるとき
文明はなくなるという
それでも僕らは
優しい糸を紡ぎだして
新しい音を作ろうとする
それはいつもドミソのリズムで
世界を踊りたがるのさ
空に敷いた五線譜に
優しい風が吹いたとき
初めの一歩を
踏み出せる気がするんだ
不協和音の鳴るこの世界で
いつでも
いつまででも
たとえその日が来なくとも
僕らは
踊り出すその日を
待っているのさ
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