「 海辺にて 」/椎名
 
波の音

波の音

寄せてはかえす



風の音

風の音

潮騒の音に協和して



透き通るような青い空に

真綿を薄く伸ばしたような白い雲



子供達のはしゃぐ声

人々のざわめき



心の中が空白になる

溶けていく

溶けていく

我の存在そのものが



無にかえる

空白の

こころ



さらさらの砂

湿ったすな

散らばる貝をそっと踏み

歩く



波打ち際を

そっと

そっと



潮風に巻き上げられ

あの青空に吸い込まれるように

こころが



浄化されてゆく




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