観覧車/
小川 葉
観覧車の回る速度と
自転する地球の速度が等しい
わたしは丸い窓から
母を見ている
南中する
太陽と同じくらいの
かつての父の高さから
父はひとつ先の
観覧車に乗ってる
夕日みたいに
逆光で見えないけど
母は待ってなかった
観覧車を降りて
わたしは一足先に降りた
父を探しに行く
家の方から
春キャベツを刻む音が
夜みたいに湿ってる
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