アラベスク/みい
 
なにもできない夜でした
膨大な量、足りなくなって 急に
大きく。大きく、吸い込むのです
膨張する一方で 血管に指先からの、キス
ぶうわ、からだ中をめぐる網 ひとえに
とじこめられるわたし、が
つもる一方で
なにも、できない夜でした
いよいよだわ、生きている。
なんで、飲み干せると思ってたんだろう


月を
さがしていたのです
少しも はみだしていたく、
なかったの それは
わたしの範囲
あの
ぶうわ、と めぐる血液のなか
心地いい かみさまがくれた
おんな、という わたし の
あの あなたのキスで
とじこめられるくらい
少し
きゅうくつ、なぐらい

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