夜行列車/乱太郎
 
果てるなら
果てるなら
あなたの瞳に
溶けて
今夜だけは
今夜だけは
あなたの唇に
触れたかった
桃より
柔い肌の傍ら

くちづけたなら
あなたの導くまま
どこまでも
どこまでも
ゆられて
ゆさぶられて
何度でも
波を超えて
共に煌めく闇へ
桃より
垂れる液の雫

明日には海峡隔てる
二人の肉体
それでも
離れることのない
二人の心
闇より深い
ふたつの絆は
澄み渡った空より
高い処で結ばれて
時の守り番さえ
羨むに違いない

双つの月
封印した言葉
海の沈黙を孕んで
夜行列車が駆け抜ける 

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