時/高杉芹香
きみのいろんな面を見てきて
きみのどこが好きなのかがようやくわかってきた。
本当に強い人だとも思うし本当に脆い人だとも思う。
優しい人だから慈しんで来たんだと思う。
去年と同じ景色の中、やっぱりきみのことを考えた。
夜風が頬に当たって、小雨が僅かに舞うベランダで。
前髪がくしゃくしゃになりながら考えた。
それでもまた春は来るんだろうし。
それでもあたしはきみに出会ったことを感謝してくんだろうと思った。
ただ今のままこの想いを持つことが正しいのか、問いかける時間にもなった。
きみにして欲しいことはあまり思い浮かばなかった。
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