啓蟄/信天翁
 
         電車の中はガラガラだった
            乗客たちは十人十色
それぞれの姿態で なにを思っているのだろう

あなたのゆめは・・・
   あなたの気がかりは・・・
      あなたのプライドは・・・

      わたしは溜まった唾を飲みほした
   覆いかぶさる落ち武者のかげにおののき
  「在る」ことそれ自体が尊いことなんだと

       あゝ 冬の入り日が舐めていた
        冷えきったプラットホームを
            もがりぶえとともに

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