幽霊の心地/亜樹
紺碧の空・黄色い太陽・煩い蝉時雨。
八月に雪が降る。
眩暈がする。
前頭部が酷く痛む。
仕方なく、私は暗がりを探す。
私の目玉は欠陥品だ。生まれつき、水晶体に無数の細かな凹凸がある。
まるで手吹きの硝子のようにザラついていて、歪な目玉は、明るすぎる光をその中で乱反射させる。そうして、その凸凹した表面にできた影までも、くっきり網膜にうつしだすのだ。
その白い影が、私を悩ます。
八月の雪は、危険信号である。
これ以上目を酷使するなと、脳が訴える。
惰弱な視神経は、多すぎる情報にあっさりと音を上げる。
無理をすればするだけ、笑えるように私の視力は下がった。
「このまま行くと、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)