ひらめけ!電球/かいぶつ
した電球を抱え
部屋にもどった電気屋さんは
寝るまえに必ずすることがあります
それは使い古された電球を
クリスマスツリーの電飾のように
ひとつひとつコード付きのソケットにつなげて
いっせいに電気を流すことです
するとたったひとつでは弱々しく
手もとを照らすにも頼りない
切れかけの電球が
ひとつの場所に集合し
明滅を繰り返すことによって
まるでオーケストラのように
なんとも楽しげな
光の交響曲を奏でるのです
電気屋さんは眠ります
小さな演奏会に
耳を澄ませながら
本当はエジソンみたいな
発明家になりたかった。
*
町の電気屋さんは
今日も大忙し
ひらめけ!電球
どうか未来を明るく照らす創造性が
みんなのあたまの上に
ハッ!とひらめきますように!
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