漁色の日々に/前澤 薫
 
、あああっ!

俺も、
お前も、
昨日犯した彼奴のことも、
その前の彼奴のことも、
碌でもねえ奴だったけど
俺に息衝く頭のおかしい彼奴のことも、
引っ叩きまくって
ひひんと嘶いた彼奴のことも……
きりがねえや!
全部が全部、
一緒くたに脳くそみそに組み込まれて
ロケットは
びゅーっと
妙に牧歌的な
(何だこりゃ)
夕景に放たれる。
そして、
揮発するオイルのように、
一気に
消えていった。

お前と
濃い目線を交わして、
逸らすと、
途端に互いが違う方向へと
袂を分かつた。



とうに
光と影の隔てなく
俺の身体は
闇に包み込まれている。

槍と襞で突付きあった
疾火のごとき行為のあと、
コンクリートの寝床には
欠片ばかりの
枯葉だけが
辛うじて残っている。

枯葉とともに、
住まう家を
焼き払おうでは
ないか!

あの熱に浮かれて
漁り惚けた
日々を思い出すために。
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