夢のイマージュ/前澤 薫
 
机の上で
ふとこくり。

一瞬が十秒になり
十秒が一分になり。

かすれていたイマージュが
少しずつ
はっきり現れてくる。

あなたの全裸が
球体の曲面に
映しとられる。

まるで月がうかび、
満月になるにつれ
大きくなるよう。

男の頭から瞳へと
瞳から顎へと
顎から乳首へと
乳首から腹へと
腹からペニスへと
ペニスから腿へと
腿から足の爪へと。

砂時計が下に溜まるかのよう。

ふと
アマレットの酔いに似た
苦く甘いような

幻惑。

日めくりカレンダーのような
回転扉の前に立って、
己が頭の中でめくりめくって、
あなたの肌にふれる。

湖面の表面に手を翻し爪でふれる。
冷たさが伝染して、
体を震わす。
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