冬の鏡(三)/信天翁
 
   みぞれが止んで 宵の冷気は重くなった
      北風は示威をやめて 死に絶えた
  庭木も庭木で 昼間のかげをたたみこんだ

   どんな静寂の気高さが 月には秘められ
     どんな永遠の摂理が 星には託され
どんな色彩の恍惚が 宇宙にはこだまするのか

  わたしは日の経った切り花のようにしおれ
         孤独のかげをかかえこんだ
        寝付かれず机で両肘をついて

        あゝ これこそ寡黙の喜劇か
        それとも 黙示の悲劇なのか
    いつのまにか涙腺が痙攣し始めたのは 

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