今ここにある危機/殿岡秀秋
分の母のおっぱいとの交流を
子どもとの間で味わっているように見えた
ぼくはひそかに安心した
子どもは元気におっぱいに吸いついた
ぼくらは娘の家に三日間いた
子どもは幼稚園にはいり
塾にも通いはじめて
家の中での教育が始まっていた
子どもはときに
塾の宿題をいやがり
遊び疲れてそのまま寝ようとすると
娘が子どもの頬を叩く
子どもが泣いて
布団にうつ伏せになる
朝ごはんのあと子どもが部屋に入ったすきに
居間でぼくは娘に言った
「このままでは大変なことになるよ
大きくなって暴れだすかもしれない
それがいやなら
塾の宿題をやめさせたほうがいいよ」
「本人
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