桜湯/
フクスケ
まだ桜には早い
三月初めの
とある一室の
窓際のお雛様二人
ガラスの向こうは
初春の霙まじりの雨音を
聞いている
湯の中で
桜漬けの花びらが
ゆったり 咲(ヒラ)いて
ふわりと
頬のあたりを
はる(春)が立ちのぼる
窓の向こうは
小枝をゆらす寒風
の音ばかりが
春への恨み言のよう
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