冬のランナー/
非在の虹
考えることない足の裡に
沸き立つ筋肉がある
氾濫の予感に皮膚は青ざめ
狂おしくアキレス腱は悲鳴を上げる
陰画に刻まれた冬のランナーよ
スタートの位置を決めろ
地べたに奇妙に指を突き立て
尻を不思議な角度で突き出せ
すべてが走っている
走らないものは存在しない すなわち
存在するものは
ひとしなみランナーである だから
路上に心臓をゆだねランナーは去る
濁流の大河を飛び越えランナーは去る
鬱勃たる大臀筋は振動する
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