霞/柊 恵
 
青い
青い空 輝いて

こんなに綺麗な空は
もう一生 見られないかも知れない

機関車は弛く曲がって
白い煙りを高く吐く
葉っぱ達が緑に眩しかった。


僕は右手にやかん左手に枕を抱えていた。
弟は、やかんの蓋を持ってフクレてる。
これからどこへ行くのかな?


「昼間だから、夜逃げじゃなく、昼逃げだな。ハッハハハ」

一人で笑ってるお父さんを見て、眉をしかめるお母さん。
お姉ちゃんは、そっぽ向いてる。

そうか、また引越しなんだ。


長い
長い時間デッキにいて、すっかり退屈してた。
汽車の中は混んでて座るとこが無い。

いつの間にか寝てい
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