夢追い人/五十里 久図
 
旅芸人の吹く笛の音が
忘れかけていた哀愁を呼び起こす

自分にはもうなれない
夢を追い、人々に夢を与える人々

漂白民が時として定住民にもたらす羨望と憧れのように
彼らもまた私たちに触れ得なかった世界の夢を垣間見せる

夢をふりまく人 そんな人にはもう
自分は決してなれないけれど
それでも私は憶えていよう

かつて彼らがいたことを
彼らが唄っていたことを
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