おと/ひとあめ
音をたてて動く大きな乳母車に
立ったままみわたす子どもたちと
遠くまできこえる声をあわせて
寒空に日差しを感じたりする
まだ時間はありますかと
たちどまって気にしている
スーツ姿のおじさんがたと
携帯にのこるあたたかさと
たらないといけない充実なんかと
いいたいわりきりかたなんかを
感じたりしているらしい
片言になるわずらわしさの表現に
あなたはどうすると問いただすまで
時間がながれる瞬間に
かなしいような感覚になる
さよならをいわれてしまったような
くじびきにはずれてしまったような
あとあとたいしたことではないと思うような思わないような
くたびれているのかと問う
たらない文字すら忘れようと
ごめんなさいの一言もいえない
そんな大人になるのではないよ、と
いわれたようないわれなかったような
たぶんすべてみているだけの
きいているだけの
それでもと思う
雑踏にまぎれる
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