あの日とあの人/小川 葉
 
 
あの日とあの人が
ひとつだった
あの頃を知っている

お父さんはおれで
お母さんはわたしだった
そしてぼくは
いつまでも
ぼくのままだった

もう戻れないかも
しれないけど

あの日とあの人は
いつまでも
ひとつになったまま

待合室の
隣の席で咳をしていた
あの日とあの人も
 
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