あたしの町へ/柊 恵
 

「2年生よ。おさげの子」

大人も子供も見つめ合う
時が止まる…

あたしだけ
瑞穂ちゃんを
知っているのは
あたしだけ
どうしてみんな
知らないの?


その夜 あたしは
夢をみた

穴の中
小さく泣いてる
みづほちゃん
「お姉ちゃん…」
呼ばれて あたしは
目を覚ます

助けなきゃ!
すぐ行く
待ってて
みづほちゃん


深夜二時
パジャマのままで
外に出た
頼りは小さなペンライト
深い闇には
あまりに小さな
小さな光

この森で
みづほちゃんが泣いている
黒く広がる森の入り口
もの言わぬ視線が痛い
歩けない
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