Dream Land /服部 剛
 
放浪中の乗り合いバスで 
旅の鞄を開けたら 
電池の抜けた 
目覚まし時計が 
ぴたりと時を、止めていた。 
2本の針が指す時は 
午前5時30分 
あの朝旅を始めた僕が 
心許ない足取りで 
玄関のドアを開いた 
夜明け前の時刻 
あれから僕はいつまでも 
宙を漂う 
一枚の葉となり 
風の想いに身を委ね 
今日も 
世界の何処かで 
待っている 
愛しい誰かに逢いにゆく 
全ての夢の残骸を 
水面に浮く骨片のように 
世の最果てへ流してゆく 
人生という川の畔に独り立ち 
旅人は今日も呟く 
good old worl
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)