ふるえる糸/小川 葉
 
 
ふとその人の
意図してることに気がついて
糸がふるえている

わたしは煙草を銜えながら
返信メールを
打ちはじめたけれど

意図の糸が
いつまでも
ふるえているので
確信を持てずに
削除した

ピンと張りつめた
糸を歯で切っていた
打算的な命の生きざまが
わたしは羨ましかった
母の

息子宛てのメールは
ふるえる糸の指で
打たれていた
意図に
違いないのに
 
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