三月/小川 葉
さしさは
いずれきびしい
かていとなって
それでも
そのひとときがおわったなら
それをやさしさとおもえる
あなたであってほしい
はるなのに
おわかれしなければならない
まだそうべつかいまで
ひとつきもあるというのに
わたしは
うそだらけのなみだを
すでにながしていた
しあわせになってね
きっとそれはうそではない
ほんものの
しあわせなのだと
しんじてくださいわたしも
しんじていますから
あるべきところへ
おさまってゆく
あなたがとても
すきでした
たとえそれが
うそだらけであっても
それだけが
しんじつでした
さよなら
またあしたあえるけど
あえなくなる
そのひがくるまで
さよならを
いわなければならない
そのひとに
ことばにならずに
かくしておきます
きょうの
みつめあったあなたの
ひとみのおくに
いまのこのひとときを
たいせつにほぞんします
たとえそれが
うそであったとしても
わたしたちは
いきています
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