泣く泣く初夏も無く/aidanico
 
過ぎると思えばもう七月だった。太陽は容赦なく地平を照らし、噴水は熱を帯び煮え滾るように地底からの湧き水を惜しみなく撒き散らし、攫うように若者たちの長袖を奪っていく。燕尾服のよちよち歩きは麦わらを無理矢理かぶせられ、許可無く彼らの地面を融かされてゆく。まだあなたに会えると思っていたのです。冬が来てコルテックス剥がれて凝る凝り凝られコラージュされて固まった肖像画もまだあなたに会えないと思うと悲しいのです。若返らない金髪の青年が泣こうとも屍は壁から出て来はしない。老いは若さが蘇らないことを知っているから泣く泣く詩歌もそれに鳴く鹿も亡くなる人もまた無いといいます。六月が来る前には蛙がレミングと相談事をし始めているようです。そう戯言と叱らないで下さい、私は何時でも十時には寝ても二時には起きるのですよ、自由に虹色が滲んで蜷色がむかえに来ていいように。安心してください、異様に憤怒の念を押し出さなくとも、そうしたら良い様にしてくださればいいのですから。箔のように履く眉も無くあなたは薄い。意味無くまだしも産毛であるからして、
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