光の羽/小川 葉
 
 
背中に生えていた
光の羽が
ふたつに分かれながら
ずれて
鳥のからだだけ
ひとつのまま
あの空へ消えてゆく

羽がひとつになって
あの空を
自由に羽ばたいていた
そんな季節も
いつかあったね

それから羽は
一枚一枚
千切れていったけれど

ぼくらの背中には
羽が生えていた跡さえ
残っていなくて

その感覚だけが
今もある

光が射していた
背中にはまだ
かすかな
ぬくもりがあるんだ
 
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